ただっぴろい教室には沢山の人がいる。

楽しそうにきゃぁきゃぁとふざけあう女子達。
とりあえず群れて、しゃべる男子達。
自分の世界にインして、読書やら勉強に励む子達。


貴方達の世界がとても遠く感じます。

ねえ、ねえ。












「ん・・・・あれ・・・?」

気づくとやっぱりアオはいなかった。
変わりに、アオらしい可愛い字で置手紙があった。

<<疲れてんならちゃんと寝ないとダメだよー★
俺はじゅー電できたから帰るけど、淋しかったらいつでもおいで>>




アオはいつもあたしを許してくれる。

あたしがこの世に存在していることを。
あたしがただ時を浪費していることを。
あたしが貴方の好意を弄んでいることでさえ。

あなたは、優しすぎる。


一方的に、限りなく優しく向けられる日の暖かさに、
凍えて冷え込んだあたしの心は確かに、溶かされて魅了された。

恋愛感情か何かも分からないまま、全ての思考をあたしはストップさせた。






足元に目線を泳がせながら、ユウキが聞いた。

「なぁ、結局アオとはまだ続いてンの?」
「え?やだ、何その言い回し」

あたしは乾いた笑いを漏らしながら言った。
ユウキは頓狂な顔をして目線をあたしに戻した。

「へ?」
「付き合ってるみたいじゃない」

まぁ好きは好きだけどね、とあたしは付け足した。

「結局アレって違うの?」
「アレってー・・・?」
「アオとにとなが付き合ってるって噂」

「へ?」

今度はあたしが頓狂な声を出した。









・・・・・・・・・。

『クラスの女子が噂してたらしくて』
『アオあれでフェミニストだから人気あるんだろー』

これって、スキなのかな。
このモヤモヤしたキモチは何なんだろ。

お気に入りの玩具を取られた子供みたいな気持ちだ。




ふと、あのビスコちゃんが浮かんだ。




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