<<story.5:ACT・・1>>



世の中は全部芝居じみている。

リアルやらクオリティなんてどこにもないの。
だから温度を下さい。

リアル=現実
なら、あたしは何処に生きているの。
あたしがここにいていいという証を頂戴。




act】行為、決議(書)、法令、幕、出し物、見せかけ、お芝居





みんなみんなダイキライだ。
あたしは部活生だし、まぁ武道を嗜んでいる。

それなりに礼儀はあると思うし、というか親の期待だの何だのでこうされた。
敬語くらい使えなきゃ、きっと好きになってもらえない。
そう思ったから、誰も見向きもしないマナーの本なんてモノを必死に読んだ。

小さい頃から、あたしは頑張ってたと思うよ。
「あんたには期待しないから」って言ってる親の、心の奥底の期待にこたえてた。
ウン。あたしイイコちゃんなんだ、基本的には。

ねぇ、アオちん。



「あれ、今日もご機嫌ナナメ?」
ぷに、と頬をつつかれる。

「考査終わったから多少は高いけど」
「アホかボケェってつっこんでよ」
「・・・知るかボケ」
「あー何かにとなっぽい」



あたしの鞄の中から、アオは模試の用紙を取り出した。
ちらっと見て、またあたしに目を戻す。

「相変わらず頭イーね」
「べっつにー・・」
そう不機嫌そうに言いながら、頭を撫でてくれるアオの手が酷く恋しい。
目を閉じれば、ぐっすりと眠りの世界にトリップできそうだ。

「勉強したっしょ」
「誰が模試の為に勉強なんてすんの?え、まさかアオ勉強したクチ?」
「・・・・んなわけねぇーじゃん。ホレ」
綺麗に畳まれた紙は何だかとても白く見えた。

「・・・・・・・」



スゲェ。
逆の意味でスゴィ紙を見ながら絶句。

「あ、知ってるか?数学ってなぁ、30点切ると偏差値の方が高くなるんだぜ」

・・・m9(^Д^)プギャ

「それと、20点切ると進学しどーのセンセーに呼び出されるの」

・・・・・(´_ゝ`)フーン

「にとなはどんなんなのさ」
「その紙見ればいーじゃない」


アオはまじまじと紙を見つめ・・・
「・・・・キモス(゜∀゜)!!」
「それ、ショーゴにも言われた」
「ショー・・ああ、委員長?」
「そー」
「ふーん・・・」
あ、ちょっとご機嫌が斜めになった。
アオちん、頭ちゃんとなでなでしてよ。

「仲良いの?」
「んー・・・まあまあ」

曖昧な返事で濁してみる。

でもアオは納得したらしい。
話はまた模試に戻った。




「ナニこの国語・・偏差値って80超えるコトあるんだねー」
「らしーね」
「文型だっけ?」
「理系ですけど」
「・・・国語と英語が此処まで良くて、何で数学が50切りそうなの」
「・・でも総合が69ってスゴィでしょ」
「凄いけどー・・・ホントに理系なんですか貴女」
「大学?・・・・・・ウン・・・担任には止められたけどー・・」

夢、医者か教師。
別になりたいわけじゃないけど、そう言ったら親が喜んでたから。
期待されてる重圧。
マジキモス。

でも勉強しないにとなチャンは努力不足だカラ♪
つーかコツコツ嫌いですカラ♪

優等生のツラ被ってる。
きっとあたしは大女優だ。




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