【ラフメイカー】







―――ピンポーン。

始まりは、一つのチャイムの音。


「もぉー・・・どちらさま?」

「名乗るほど大した名じゃないけど・・」

誰かがこう呼ぶ"ラフメイカー"

「あ、貴女に笑顔を持ってきまし・・た」

「声くらい、変えなよ・・・」

どこで、あたしが失恋したって聞いたの。


「入れてください」

ここ、寒いんです。

――知らねぇよ



「あのね、ラフメイカーだか何だか知らないけど。
冗談じゃないわ、呼んだ覚えもないし」

「あたしに構わないで」



「そ、そんな事言わないでくださいよぅ・・」

「煩いわねヘタレ」

「僕へたれてないです」

「そういうのがヘタレなのよ・・あーもー。
何でもいいからさっさと消えて」


そこにいられちゃ、泣けないじゃない。




「僕まで悲しくなってきましたぁ」

「は?」

ドアの向こうからは啜り泣き。

「ちょっ・・男でしょぉ!?」

「男も、女もっ・・関係ないですっ」

ぐしっ・・・


「あ、あんた"ラフメイカー"なんでしょッ!?」

「でもっ・・普段は、学生・・です」

「あたしがババァとでも言いたいの?」

「ふぇっ・・にじゅうさんは、まだ若いですよ」

「自分の年を考えてから言いなさい」

「もー・・・何なの」










「もしもし?」

「・・・なんですか」

「寒いでしょ」

「いえ、もう春ですから・・」

嗚咽も鳴り止んで、静かになったドアの外。
座り込んでいるらしく、ドアが軽く押されている。

「・・・」

カタン、とカギのわずかな隙間が動きかける。


「んん、開かない・・?」

「ちょっ、そっちから押して」

・・・・。

「え、やだ・・」

もう、帰っちゃった?

「もう止めてよぉ・・・」

また、裏切られた。



ガッシャァァァァン!!!

「キャッ・・・ちょ・・な、何ぃぃ!!?」





「すいません、ごめんなさい」

「え・・・」

右手に鉄パイプを持った中学生が、そこには立っていた。

「何して・・んの」

「顔、見せてください」

「質問には答えなさいよ」

俯いたあたしに近づいてくる。
いやいや、そこまでやるかよ普通。

そんな過激な愛情表現が嬉しかった。

正直。




「はい」

「・・・?」

手渡されたのは鏡。

覗き込むと、真っ赤に目元を腫らした醜い顔。

「泣き顔って、なんだか面白くないですか?」

ようするに、アンタの泣き顔笑える!って話。

「・・馬鹿」

呆れたと同時に、少し疲れた笑い声が喉の奥から零れた。

「僕は、貴女のラフメイカーですから」




隙間風の吹きまくる窓。

ふたりでガラス片付けて、大家さんには言い訳して。
いや、今時キャッチボールする少年はいないかもだけど。

笑ったあたしを見届けて、ラフメイカーは帰っていった。
「これなら僕の部屋から直接来れますね」

と、窓枠だけになった窓から顔をだしながら。

隣接したアパートの一室、それに隣接するマンション204号室。

何だかワケあり一人暮らし中学生は。

これから、毎日自室からここへ来るらしい。



「窓ガラス代払えよ・・」


end.
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テーマ
・バンプの曲使いたいよぉ
・年の差萌え(最近のハマリ)
・愛するあまり泣いちゃうコって可愛くないですか
・普通鉄パイプでガラス割ったら、後始末大変だよな
・家隣接してたらおもろくないか

初めてここまでへろっと書きました。

ううむ。
どうなのだろか。

最近どうも年の差に萌えが来てます。
「等身大」も「キスフォ」もですよね。
でも、良くないですか。
ジェネレーションギャップっつーもんがあるんですよ?
昭和と平成の違いももちろんあるんですよ?
携帯電話の普及もあるんですよ。

うふふ。(何

今日はもう一個書こう。

しかも秒数はかってみませぅぅ。