似ているし、似ていない

二人の距離は一定のまま


あなたといるのは、あなたを想うから。








a dot.















「しーずーくっ!!」

「何」

「連れねーな、もう・・」

黒髪の風雲児、葉野雫。
それに対するは古池青空。

二人の関係は様々に表せるわけで。
似てる様でもあり、真逆でもある。

委員長と一般ピーポー

風紀委員とサボり魔

主将と副部長

空手部と吹奏楽部

でも成績は二人とも同じ位だったりする。

そして、特別仲が良い訳でもない。
良くも悪くも無く、可も無く不可も無い。

そんな関係。

「もー・・何」

しょげた青空を少し不憫に思ったりする。
何かと雫はママキャラで世話係で。

「・・・・何でも」

「フられた?」

「・・・・・・何で、」

分かった?、と続く言葉を飲み込む。
理由、天邪鬼。

規則正しく並べられた椅子に逆に座った青空。
雫はただ黙って自習を進める。

次の時間はきっと当たる、と目の前で不貞寝する問題児を眺めながら。









葉野雫は入学当初から中の上をずっとキープで。
成績表はほぼ横線。
上を目指すも無いし下に落ちることもないし。

運動もまあまあ出来るか出来ないか。
でもマラソン(3km以上)が4位(全校女生徒500人超中)だったり
マラソンは男子を含んでも(7km)2、30番だったり、
100m走が後ろから数えた方が全然早かったりする。

最初から最後までずっと同じペース。
きっと、もっと早く走れる。

だけど崩さない不動の速度。

バスケはできてもバレーはダメだったり
テニスは硬球だと強いくせに軟球ではできなかったり。

自習とか宿題とか含む提出物は絶対に提出。

どんなに面倒臭くても提出。

理由、潔癖症。

















対する古池青空は不安定で変動激しく、平均中の上。
学年400とか500とかいる中で2番とることもある。
学年400とか500とかいる中で後ろから19番とることもある。

爆発時はすごい。

テンションで生きてるんじゃないか。

運動は基本的に得意。
満遍なく、偏り無く。

大体女子のキャピキャピした軍団から黄色い声があがる。

自習も授業も提出物もクソ喰らえ。

学校休まない癖にサボりで皆勤賞を逃す。

理由、天邪鬼。














煩い生徒に当てる先生。

そんな先生はこの学校在籍49人中17人。

出席番号で当てるのが49人中16人

席の端から当てていくのが11人。

答えた人に次の人の指名権を与えるのは49人中4人。

完全ランダム指名制49人中1人。

そんなカウントを律儀にこなす天邪鬼。








「古池」

そして49分の1の確率、更にクラス48人より選ばれてしまう天邪鬼。

更にその授業は天邪鬼の一番好きな数学だったりする。
むしろ天邪鬼に嫌いな教科は無い。

理由、天邪鬼。

天邪鬼が天邪鬼たる所以は目立ちたがり屋から。

他人と同じである事が嫌いだから。
自分というモノは自分だけでイイと分かっているのだから。
そこが天邪鬼の強み。






空を見上げる。

電線が雲を綺麗に二分割する。

窓に手が伸びていって、ふと。
手が窓に触れる瞬間に手が止まった。

理由、潔癖症。

「葉野」

そして出席番号29番葉野雫。
見事に当たってみる、そんな数学の時間。

さされて、黒板に書く。
文字を書きなおしつつ、まさに解答通りのモノ。

「正解」

外れている訳が無い。

理由、完璧主義者。













雫は追いかけられる人。
青空は追いかけて、追いかける人。
でも、掴むと飽きてしまう人。


「雫、キスさせて」

友達だと思っている人に、手を出したくなる。
天邪鬼の天邪鬼さが露見する。

「嫌」

それが冗談だと分かっていても、律儀に返事をする。
理由、潔癖症
理由、完璧主義者


全く気にも留めない雫。

天邪鬼が、天邪鬼になる。


「ちょっ・・」

ゆっくりと、離れる唇。



「・・・・何?」

唇を、腕で拭う。
理由、潔癖症。

「何でもない」

友達のフリなんてもうできない。
でも、好きだから、とはいえない。
理由、天邪鬼
理由、照れ屋


「ごめん」

謝ってしまうのは素直だから
謝ってしまうのは本当に君が好きだから
謝ってしまうのは次の言葉が欲しいから

きっと君は、曖昧に返すだろうけど。


「別に、嫌じゃないけど」

答えてしまうのは貴方の瞳が真直ぐだから
答えてしまうのは貴方が強くここにいるから
答えてしまうのは貴方が好きだから

答えてしまうのは、私が貴方を知っているから。
きっと貴方はもういちど、あたしにキスをする。


「雫・・」



ほら。



end
**********
意味不な感じー。
スタイリッシューっていうイメージで作ろうとしたら失敗☆テヘ(キモ

青空は、自分が何者にも支配されてないって思ってて。
雫は自分は自分に固く支配されていると思ってて。

実は雫ちゃんが握っているという主導権。

よく分からんがー・・

簡潔な文章が書きたかった、と。

20060617