西暦2205年、壊れかけた地球を捨てた人間達。
とてつもなく大きな惑星と地球の衝突のひずみでできた惑星。
その星に住んでいる。
その星は「母星」
衝突した大きな惑星を「父星」
散らばった多くの小惑星を「子星」
そして地球は「廃星」と呼ばれた。

世の中は幾つもに割れる。
地球への愛着心から政府を憎む人間達「ブループラネット(蒼星)」一派
混乱より生まれた扇動宗教「バサラ教」
新たな星に順応すべく何もしない一般人間達「コンフォーマー(適応者)」
人口増大に危機を感じ、囚人全員死刑化を狙う政党「革新党」
新たな星を壊そうとする、蒼星に似た一派「(ゼロ)壊全」


・・・・そして。
唯一神バサラと呼ばれる偽宗教などではなく。
"本物の神より遣わされた50名の神童。
本当に神が造られたもの以外を壊そうとする「剛童」
人間を慈しみ、全てを観察しようとする「慈童」
人として生きる事を選んだ「人似童」
神の声を聞かずに単独で動く「非童」
静観しつつ動向をさぐる「静童」

何億年もの間、神は人間たちを静観していた。
神は望みを掛けて100年の間待っていた。
そんな神が人間たちに業を煮やした

神は童を遣わすことを決めてから5年。
現在西暦2310年
ついに神は神童を星へと送った。

世界の何かが音を立てて壊れていく。








初めの始め-Starting "FIRST"-

















「あ、駄目だ」
 銀がかった髪の少年が言う。
手元には人、否。
人であったもの。
「そうみてェだな」
 それに、赤髪の青年が呼応した。
彼は煙草に火を付け、口元へ持っていった。
そして口元から煙草を手放さずに言う。
かなりのヘビースモーカーらしい。
「ちょっ・・・やめてよ蒼炎」
「ウルセェ」
 銀髪の少年は溜息を吐きながら赤髪へ駆け寄った。
あの廃星を犠牲にしてから、厳しいものだ。
車も禁止、人の肺は手術により一つにされた。
そして温暖化防止のために人の体温は三十三度まで下げられた。
森林が枯れやすいこの星「母星」では酸素が少ない。
順応できた人間はいいとしても、犠牲者は多い。
 狂っている。
まぁ元々、自然にためには人間はいないほうがいいんだろうけど。
「煙草なんて吸ってると・・ほらぁ〜」
 少年は再び溜息を吐いた。
周りには六名の警官。
「何をしている!!」
 状況は圧倒的にこっちが悪い。
第一級汚染指定物品の煙草を吸い
第一級汚染指定物品のバイク傍ら
第一級市民禁止事項の殺人を犯し
更には体温が三十六度と七分もある。
「お前らァあああ!」
 状況を察知した警官が飛び掛る。
ひらりとかわした銀髪は真面目な顔で言う。
「"お前ら"じゃないよ?」
 次の瞬間、その場に立っているものは誰もいなかった。
「僕は直杷。この赤髪は蒼炎だ・・・あれ、蒼炎?」
 直杷と名乗った少年は辺りを見回す。
誰も見当たらず、倒れた警官も五人しかいない。
うーん、と顎に手を当てながら直杷は足で地面を二回蹴った。
「蒼炎、もしかして僕殺しちゃった〜?
だったらごめんねー、恨まれても迷惑だかっ」
「大馬鹿野郎、能力使うんなら言えボケがァァぁあああ!!!」
 空から"落ちてきた"蒼炎は、直杷へ蹴りを喰らわせた。
そして怒鳴り込むと、頬にかすり傷を負った直杷は苦笑する。
「でも、良かった」
「お、俺が怪我負わなくてってか・・?
まっ...まぁ今回はお前の謝りに免じてだな・・・」
「僕の大切なバイク、傷つかなくて」
「糞餓鬼ィィぃいいい!!!」
 再び蒼炎の蹴りが直杷へと向けられた。



「でさぁ、警官が一人逃げたんだ」
「はァ?お前の能力で人間が生き延びれるとでも・・・」
「きっと選ばれし者だよ」
 蒼炎は黙ってしまった。
この星に下りてきてから、初めて出会った本物。
神が直接造られた、神に選ばれし一億の人間のうちの一人。
・・・今のところ、世界総人口は五千億とも言われている。
一週間ほどで一万人を超す人間を殺めたが。
初めて一人に出会った。
本当は五千人に一人でなくてはいけないのに。
「きっと、惹かれ合って固まって生活してんだろォな」
 蒼炎は言った。
手元のパソコンで、既に先ほどの警官を割り出している。
 ピーッ
泉谷達彦、四十三歳既婚
エリート組ではなく叩き上げの警部補。
妻 美智代、四十二歳との間に三男二女。
長男 達矢、二十一歳
次男 智彦、十九歳
長女 蓮、十八歳
三男 純、十二歳
次女 幸、八歳(孤児、養女)

該当者二名
既死亡二名

「おーおー、仲良し七人ファミリーで生き残れるのが二人だと」
 蒼炎は哂った。
心にも無い言葉が溢れた。
何かがオカシイ。
「しょうがないじゃない、蒼炎。
神様の御意志だもの。僕らがやらなきゃ」
 何か嫌な予感を抱えた直杷は爪を噛みながら答えた。
冷静沈着な直杷には珍しい。
よほど何かを感じ取ったらしい。
「分かってるけどよ・・一回殺さなきゃわかんないのが面倒だよな」
「生き返ったら本物、とかね・・いっそこの星壊そうよ」
 直杷は邪な笑みを浮かべた。
その笑みに蒼炎は嫌な予感を覚える。
「直杷・・」
「冗談♪僕ら剛童じゃないもんね」
 すぐに何時もの笑顔に戻ったが、直杷は危険信号を感じ取っていた。











「お父さん早かったね」
「あっ・・ああ」
「おかーさん、お父さん帰って来たよ」
「あら、早かったわね」
 今日は、お父さんがおかしかった。
何を言っても上の空で、ずっと部屋から出てこない。
たまに口から嗚咽を漏らしながら、何かに許しを請うていた。
「お母さん、前も・・」
「・・・」
 お母さんは黙っている。
「五年位前もお父さん"ああ"なって帰って来たよね・・?」
「ねえ、お母さん・・確かお兄ちゃんたちが」
「蓮、黙んなさい」
 お母さんは怖い顔をして、客室に入っていった。
デジャヴがおこる。
昔もあった、昔・・五、六年前も。
お父さんは凄い顔で帰ってきて、お母さんは客室で数日を過ごした。
お父さんと同じ部屋で寝たりしているものだから。
その間、ずっとあたしは炊事洗濯家事全部やって。
・・あれ、お兄ちゃんに手伝ってもらわなかったよね・・
何でだろ、あれ・・本当にお兄ちゃんいなかったっけ?
 あたまがぐるぐると回っていく。
「おねーたん」
 末っ子の幸があたしのスカートの裾をひっぱった。
「なぁに、幸」
「・・・・・・」
 幸は上手く喋れない。
七歳という年齢だからではなく、親に捨てられたショックから。
「ふぇっ・・・ぅわぁぁぁあん!!」
「幸、大丈夫」
 あたしは、小さい幸をしゃがんで抱きしめた。
 何が大丈夫なのか自分ではワカラナイ。
お父さん、お母さん、お兄ちゃん・・そして妹弟達。
更に言えば、この星の環境、神様、組織全て。
むしろ、何も大丈夫なんかじゃない。
あたしだってどうしたらいいか分かんないんだ。
「姉ちゃん」
 いつもと違い、すんなり寝てくれた幸。
横に一緒に寝て、ぽん、ぽんと優しくリズムをとってやる。
 そんな中、小さい声で呼ばれた。
「なに?」
 振り向くと、弟の純が立っていた。
十二歳にしては小柄で、細く、体重も軽い。
次の循環、大人しい純の口から、思わぬ言葉が飛び出した。
「もうすぐ、達矢兄ちゃん帰ってくるよ」
「え・・・どうして」
 幸から手を離し、その場に固まるあたし。
そんなあたしを残して、純は妹の幸に寄って頭を撫でた。
「幸が言ってた」
 台所から微かに光が入ってくる。
純の顔が映る。
穏やかで、優しく微笑みかけていた。
「・・・幸が?」
 幸は、何を知っているの?
さっき泣き出したのは、何で?
まさか、達兄に関係している・・の?
「蓮姉ちゃん、おやすみ」
「あ、おやすみ」
 純はあたしと幸の間に入って、あたしと幸の手を握った。
ぎゅっと握られたその手は、小さくて暖かい。
「おやすみ、純・・・」










To be continued...



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第一話終了。
最初は趣味に走りました。
キョウ様スマソ。

<紗恭考え>
・近未来モノ
・人口増加における色々なイカれた政府対策
(肺一個とか体温三十三度とか)
・地球捨てて火星とか月とか
・主人公は人選別人で、違う星に移動するので
 連れて行くひとと行かない人を選別する
・紗恭キャラは選別人で、キョウ様キャラは一般市民。
 ちなみにキョウ様キャラは地球に残される方。

<キョウ様考え>
・地球にぶつかった惑星に移住
・主人公は蒼炎(紗恭キャラ)と蓮(キョウ様キャラ)で。
・遠未来モノ
・全員移住して、選別人が動く
・むしろ選別人より神の子推奨

そんで、この案がミックスされたわけです。
やりたい放題やっちゃう人です。
キョウ様バトンをお受け取り下さい。