<<story.3:UNFAIR・・2>>





もっと早くユーヘイに出会っていれば、きっとあたしは自分を大切にしてた。
良くワカンナイ綺麗な感情を大切にしてた。
アオが汚いわけじゃなく、むしろアイツは変なところまで純粋そのもので。
全てはきっと、あたしこそが汚い。

これはきっと運命なんだろう、と勝手に自己解釈してみた。



「ハァ」


どうしようもないので、明日の古典の勉強でもしようかと思っていた。

あたしの悪いところは、きっと淋しいと感じると流されてしまうところ。
淋しくなければ、どこへでもいける。
でも、本当の孤独ってやつに弱い、脆い。


ウサギは淋しいと死ぬらしい。

もし、世界に今あたし一人しかいないなら。
あたしは、きっと生き延びることは不可能だ。





「にとなー?」
「・・・んー・・」
アオから電話があって、あたしん家で勉強(?)中。

「・・・ハイハイ!にとなセンセー」
「・・・・ついにオカシくなったの?」

アオは「俺生徒だからにとなはセンセーねv」って言って、自分を指すように合図を送ってくる。
・・・そんなテンションじゃねー・・
そう思いつつも、最近アオに罪悪感を滅茶苦茶感じてるだけあって、強く出られない。


「えーっと、アオ君」
「はい。えぇと、なんでそんなににとなセンセーはご機嫌ナナメなんですか。
もしくは、何でそんなにテンションが低いんですかー」
「・・・春だからデス」
あたしはテーブルに顔をくっつけて言った。

「春?」
「・・・春といえば恋の季節じゃん」
「夏もそんな売り文句だし、メルティキッスだの何だのは冬の恋人がどーのって」
「・・・んー」

もうどうにでもよくなりかけて、適当にはぐらかす。
・・・アオには通じない。

「何デスカそのどーでもイイーみたいな態度はー?やる気ないデショ」
「アオと違ってヤる気なんておきないの」

あたしは病んでるから。


「んん?ヤル気ってのはー・・起きるものじゃなくて、起こさせるものなのv」

チュゥ以上の行為がなければ、普通の友達だし。
こんなに安心できる体温を持ってる人を、あたしはほかに知らない。
アオは、そんなあたしに静かに一言。

「おいで」

ウサギにとって、それは甘い甘い魔法。


「・・・ん」



この声色に、弱い。





top  next→