皆様、お久しぶりです。
覚えておいででしょうか・・
友です。
その・・以前は本当にご迷惑をおかけしました(ぺこり


普通は、受験勉強を始める三年生ですが。
噂の彼は部活の成績が認められて、幾つもの大学からオファーが来てます。

渡米するって噂もあったり、色々噂が絶えない彼です。

・・・一応、彼氏と、彼女してます。
隠さないものだから、
(あたしはヤダって言ってるのに・・・)
結構学校中に知られてはいるんだけど。


「越前せんぱぁーいぃ」

やっぱり、黄色い悲鳴と同時に。
朝練帰りの彼のご到着を知るのです。


「超クール!!な感じで格好良いよねぇー」

「でもちょっと冷たそー」

「言えてる」

「彼女居るけどきっと彼女の前でも【ああ】っぽくない?」

「え、彼女ってあの一年でしょ?」

「どーせ相手にされてないんじゃないのぉ?」

「超美人なお姉さんと歩いてたの見た!!」

「やっぱりぃー?」



憶測が本当に沢山飛び交います。
中には、女とっかえひっかえだの何だのっていうところまで。
根も葉も無い噂が飛び交い、迷惑なはずなのに。
彼は・・その、自慢とかじゃないんですが。
あたしの事しか考えてないみたいで。
(詳しく言えば、あたしに何かする事しか・・・)

その憶測の中での、超クールで冷たい大人な彼は・・・












背伸び




















「んん・・」

ぎゅっ、と目を瞑る友。
習うより慣れろ、という諺のままに回数だけは重ねてきた。

結果、まだ慣れないらしい。
諺だろうが、昔のお偉い人だろうが。
きっと、この初心少女には効かないんだろう。

「ねー、友」

「な、な・・何?」

「目ェー・・開けないの?」

「あっ・・・あ、開けるわけないじゃ・・・ん・・」

「何でー?」

「な、何でもだよ」


目の色変えて皆勉強してるのに・・。
相変わらず、皆の憧れ王子様は傍若無人らしく。
つーか少しくらい勉強しろってのはOB、桃先輩のお言葉で。

もー周りはしょうがないなって感じになってるらしく。

やだー友ったら愛されてるじゃーん
うらやましー
だって越前先輩よぉー

エトセトラ。

・・・いい加減黙れって、ネ。(微笑


いや、さすがにあたしだって鬼じゃない。
前回(コドモレンアing now参照)力説されて。
ああ我慢させるのも悪いかなぁって思ったのですよ。
だから、少しくらいは・・とも思ったんだけど・・。

ここ、学校ですよ。




「言うまで離さない」

ご丁寧にも、語尾にちゃんとハートマークをくっつけて。
あたしの首の後ろでは、両手を組んで静観してて。
あたしがオロオロしてるの見て楽しんでる。
サドだサド。
その子悪魔な王子様に骨抜きのあたしは何なんだろーか。



『超クールで格好良いよね』

『でも冷たそう』

・・・・・・・・どこがだ。
どこが超クールで冷たい、よ・・・ぅ。

貴方達の見方は間違っていると、面と向かって言ってあげたい。
結構ヒトは見た目に寄りません。

生意気そうとか、ずっと言われてきたけれど。
そんな可愛らしいものじゃないのです皆さん。

・・その、いろんな意味でもう高校生の域を超えてるというか・・

いや、あたしは少女漫画レベルの頭しかなかったからなのかなぁ?
と、とにかく全てあたしの想像の上を行く人です。

だから、女の子の影にも気を使う。
もしかしたら、って考えてしまう自分がイケナイんだけど。
でも、だってこんなにかっこいいんだし。

友達1『浮気しない方がおかしいって、あんだけ美形なら』

友達2『そんくらい覚悟してないと、無理だよ』

友達3『倍率高いし、あんまり重いと捨てられるって』

羨みからか、妬みからか、心配心からか。
周囲からかけられる言葉はどれも非情で、痛くて。
まさかこんなことを相談することもできない。

信用だってしてるし、誰より信じてる。
でも、テレビ番組だって、彼氏の彼女と〜とかで溢れてて。

自分に自信がない分、ふとした瞬間揺らぐ。
"何であたしなんかを好きになってくれたんだろ。"
いっつも頭の中でぐるぐる回って。

そのたびに、アイシテルって一言で全てが薔薇色に見えて。

単純な思考回路なだけに。

そういえば、一度も聞いたことがない。
あたしのドコを好きでいてくれるのか。

でも、そんな事聞いたら重いって思われちゃうのかな・・。






「なーに考えてんの」

「ひゃ・・な、何でも・・」

「ない、ワケないでしょ」


ちょっと焦って、そんで視線を落とす。
屈みこんで、目線を合わせられて。
身動きが取れなくなる。


「ただ・・」

「何、妬いてたりしてくれてんの?」

「・・・・・・」


図星。
ね、ほら。
何でもお見通しだよ。
妬かない方がオカシイ位、女を魅了する王子様は。
何もしなくても、キラキラとオーラを纏ってしまう。
授業中寝ている姿でさえも、憧れの標的になってしまう。


でも・・嫉妬なんてしたら大人じゃないもんね!
『もし彼が浮気したってあたしンとこに戻ってくるわ!!』
って思えるのが本当に大人の女なんだよね、ゆかりん!(友達1)

『あんなイイオトコを見つけられたのがすごいのよ』
って自画自賛できるようになればいいんだよね、るいちゃん!(友達2)

『オトコなんて星の数ほどいるのよ』
って高笑いできればいいんだよね、由里!(友達3)


とある一件(コドモ レンアing now参照)より、学んだ友。

やはりまだ大人への憧れはあるわけで。
ああいう事には・・まだ慣れないけど。

でも、これでも友達にいっぱい聞いた。
雑誌も読んだし、色々ネットで調べたりした。
うん、もう此処までくれば意地ってやつだよね。

沢山情報は得たけど、結局いつも焦ってるあたしはだめなんだ。
もっとどっしり構えられる大人の女の方がいいに決まってる。

これでも頑張ってるんだけどなぁー・・
もともと単純な頭のつくりからいって、すんごい難しい。




「図星なんだろ?友」

「うぅ・・・だって、桜乃先輩みたいに綺麗じゃないもん」

「桜乃?・・ああ、竜崎桜乃か」

中一の時は随分とコドモっぽかったのに。
竜崎桜乃はまぁまぁ可愛い部類に入るようになっていた。
可愛いも綺麗系に近づいてくるらしい。
今では、一部の後輩にファンクラブを作られるほどだ。

まぁ、俺の友には敵わないけど。



「体だって貧相だもん」

 いや、そこはこれから(げふん!!(吐血
チッ・・まるで見えない壁に言動を抑えられているみたいだ。
<そこは一応純愛路線なので(汗/作者>


「釣り合わないよぅ・・・」 


最近悩んでるみたいだと思ってたらこれか。
また所詮、煩い女にでも呼び出されたんだろう。

こういうのは、よくあるらしい。
不二先輩も彼女が出来たとき凄かったらしい。
(但し、即刻シメて黙らせたらしいけど)

ただ、友をなめてはいけない。
肝心な所は全て、全く効いていない。
理由はそう、ただ単に友が天然だから。
俺が心配しても「友達だよ」で済ますし。
まぁ確かに悪友もいるらしいけど。

しかし、変な所が気になっているんだろう。
本人が「きっと暇なんだよ」って言うから俺は何もしてないけど・・

まぁ、俺の彼女なだけあって。

『テメェうぜーんだよゴラァ』
って言われても、
『・・・・そうですかね?』
と聞き返すし。
『っち・・』
と舌打ちまじりに突き飛ばされれば。
ひらりと避けて、三倍返し(はぁと
『年下の子は守る立場ですよ、先輩』
一見嫌味だが、本人悪気もなし。
嫌味も皮肉も言う気がなく、ただ思ったまま発言。

それがまた「調子乗ってる」と言われる始末。

友が嫌な思いしないように牽制はしているけれど。
そんな俺の姿が疎ましく感じるらしい。
友は友で相手の名前言わないし・・。
とりあえずは現状維持を考える俺。
嫌なガキになったもんだと、自分でも思う。

大人じゃぁないんだよね、俺もまだまだ。




「身長だって、背伸びしても届かないし」


知らない知識ばっかりで、背伸びしたって届かない。
ある種芸能人、有名人扱いの俺らだから、そう感じてもしょうがない。
・・・くはないか。

だって、友だって有名人なわけだし。


理由。
俺の、彼女で学校一美人だから。











キャーキャーキャー
黄色い悲鳴を物ともせず、ひたすら教室を目指す。

その周波数に頭がグヮングヮンする。
ガンガンじゃなく、もう眩暈を起こしそうなくらい。
三年の教室ではなく、勿論友のいる、教室へ。

前に友は言っていた。
女の子たちの黄色い悲鳴で俺の到着を知ると。

・・・面白くない。
友以外の女なんかどうでもいいし。
どうでもいいとか考えないくらい意識の外だし。


「ねぇ」

群がる女共。

しん・・・
と、静かになったと思ったら、さっきの五割増だ。
目が合っちゃっただの、声聞いちゃっただの。
・・・・すこぶる、どーでもいい。



「静かにしてくんない?」

・・・・・なるわけも無かった。

話しかけられちゃった、更には睨まれちゃったで喜んでいる。
こいつらの頭の構造が理解できない。

可愛くもないクセに、きゃぁきゃぁと。
頭悪いんだよね、こういう奴らって。

あー腹立つ。


「な、何この騒ぎ・・」

「あぁ、愛しのダァリン越前先輩のご到着じゃない?」

「にしてはスゴィ・・ん?静かになった・・?」



「友っ!!」

「あ、おはよう」

「お、はよう・・・」


笑顔に全部吹き飛ぶ。
大人だ何だって、俺が一番ガキじゃん。

友の方がよっぽど大人・・・


「ふぁっ!?」(何もない所で転んだ音


・・・・でもないね。







「友っ」

やっと放課後になった。
今日は試験前らしく、部活動は停止。

やっと友と一緒に帰れる。
安堵感とともに教室へ走っていく自分が、本当にコドモで。


「ともー・・ここ分かんねぇ」

「あ、それはさぁ・・・・」


こんなことで腹立てる自分もまだまだガキで。
小さく、小さく溜息をついた。


「友」


つかつかと寄っていくと、少し口調を強める。
相手は一瞬強張って、どうしていいのか分からないようにうろたえた。
それに快感を軽く覚える。
うわ、本当に俺ガキだね。
自分でも引くくらい、とんでもなく子供。


「わっ、リョーマかぁ・・びっくりしたなぁ」

「俺じゃ不十分?」

「それはあたしのセリ・・・あ」


狼狽する男子生徒。


「さっきの公式で解けるから、やってみて」

「あ、あぁ分かった。ありがとな」


その場をいそいそと去っていく。
睨んでいたのもどこへやら、友に向き直らずに歩き出した。

やっぱり俺は子供らしい。
妬いてんの、とか友には聞いてるクセに。
自分がこんなベタなシチュエーションで妬いてるなんてね。
口には出せないけど、自分に苦笑した。
でも、きっとバレバレなんだろうと思う。

年はとったけど、相変わらず顔に出るし、態度にも出る。


「ちょ、待ってっ」


気持ちスピードを緩めて、でもひたすら歩く。
息を切らせた友が追いついてくるのを感じて、少しほっとする。

相変わらず、生意気で。
気分屋で嫉妬深くて・・・・・


何度も、何度も「自分って子供だ」と考えるほど。
友を、より愛おしいと考えるほど。

何だかジレンマに陥る。
大人だ子供だっていう線引きなんて明確じゃないから。
大人に向かって背伸びしてんのは俺。


「もう、歩くの早いよぉ・・」

「・・・・」

「リョーマっ!!」


あなたは遠くて遠くて。
背伸びしたって届かないところにいるから。
口付け一つで引きとめられるなんて思ってはないよ。
でも、言葉で通じないなら、もう女見せるしかないでしょう。

バレエみたいに、背伸びよりもっと背伸びして。

つま先が痛いだとか
首が痛いだとか、
恥ずかしいなんて気持ちは微塵も感じられなくて。

ただ分かってほしい気持ちだけが全面に出る。


「・・・」


女の子みたいに唇を押さえるリョーマ。
へへん、と笑うあたし。
ズキズキ痛み出した首を気にしながらも見上げれば。

相変わらずの口調で彼は言った。






「友に背伸びは似合わないね」


友が届かなければ俺がしゃがめばいい事だし。
すこし屈んで、思いっきり笑顔を向けてあげれば。


「やっぱりリョーマには敵わないや」


同じ身長、同じ目線の彼女から俺に、優しい口付け。


友にばれなければ、いくら虚勢だって張ってやる。
友にとって、大人の男は俺だけだから。


「当たり前・・・まだまだだね、友」












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くぁwせdrftgyふじこlp!!!?(大混乱
サイトおめれトンなんて調子こいてたらすんません。
すっごい事になりました。
・・・遅ッ!!
しかも今まで以上に長い気もします。
・・・・ゴメンナソ・・・(´Д`;)ノ

で、でも籠と紗恭共々見捨てないでちょ・・・。
これからも宜しくねッ!!(滝汗

2006.04.05 愛しの汐乃嬢only煮ても焼いても可。